これまでも研究会などでみなさんと授業について考える機会がありました。そして、今年は「よい授業とは何だろう」をテーマで他教科の先生方にも講演する機会をいただき、改めて考えています。私をよく知っている方は、この年齢で「今更何を」と言われそうですが、理科以外の先生にも話すので、共有できるように考えを整理しています。これに取り組む中で、私個人では「目的・目標を明確にする」ことの重要さを感じています。目的・目標について、自分が感じているだけでなく、関係あるみなさんにも考えてもらいたいので、どう扱ったらよく考えてもらえるか、試行錯誤しています。ここでは、それを取り上げて書いてみたいと思います。
良い授業とは何かを考えるようになった。
ここ数年、課題をいただいてから時間をとって考えられるようになりました。この頃取り組んでいるのが、「よい授業とは何か」を考えています。特に、新潟大学の講義を担当するようになり、授業を自らどうするか考えるようになりました。改めて「教える」というのを考えると、恥ずかしいですがいかに良い授業をするかという、「授業論」が欠けていたように思います。こう言うのも、理科が専門で、小さい頃から実験が好きです。授業といっても、うまく理科の実験を指導することを考えていました。もちろん、理科は実験が重要な要素ですし、理科の指導法についてよく読みました。しかし、改めて他のみなさんに考えて講義しようと、「良い授業とは」と考えた時に、それを言葉で具体的に表すには不十分でした。できるだけ、誰でもが考える「良い授業」を言語化して共有できるようにならないといけないと考えました。
きっかけは石井英真さんの講演の動画から
新潟大学教育学部の非常勤講師を始めて、すでに7年になります。最初の頃は暗中模索していました。2年かけて少しまともに落ち着いた内容で固められるようになりました。しかし、途中コロナ禍で2回オンライン授業になり、対面の授業ができませんでした。2022年度からコロナ禍が一段落し改めて仕切り直しをしました。
その頃から思い悩んでいたのは、15回ある講義の前半部分の授業の基礎基本でした。主たる活動は、学習指導案を書いて、模擬授業を行うのです。それは講義の流れの後半になります。前半の講義の流れは、授業の基礎基本を知り、分かったところで、事前に提出していた自分の学習指導案の見直しをするのです。こうした展開で、理論と実践が伴う学習にしよう今も取り組んでいます。ただ、ここで基礎基本の理論の部分が自分でも弱いと感じるようなっていました。
そのようなとき、3年前に京都大学の石井英真さんの研修を動画※で見たことが転換点になりました。触発され石井さんの著書で「授業づくりの深め方」(2020 ミネルヴァ書房)を参考に、講義を見直しました。そこには「『よい授業』をデザインするための5つのツボが示されています。石井さんは教育学でも教育方法学が専門です。実践の場をよく知っていて、教師のマインドをとても分かっている研究者です。そこには他の教科の実践例も含まれています。私は理科教育法の講義で使うことを考え、石井さん掲げる「『よい授業』をデザインするための5つのツボ」が、理科でどのように適用できるか考えるようになりました。
コロナ禍後、新潟大学の講義で実践で、だいぶ手応えが出ています。その中でも私の課題が、「目的・目標を明確にする」ということでです。(つづく)
※ 石井英真 京都大学 E.FORUM 全国スクールリーダー育成研修 第12回実践交流会「学習指導要領改定のキーワード」 石井 英真(教育学研究科 准教授)2017年3月25日

QRコードから動画が見られます。