根津山の日記

日々の生活をまとめます。世田谷代田、理科教育、戦前の教育

勝田茅生 「それでも人生に意味がある。」 第1回 NHKこころの時代

「あ、まだ、朝のニュースはやっていないんだ」

たまたま目覚めが早くなってしまった。起きてすぐにぼーっとしながらテレビをつけて、ニュースでも見るはずだったが、やっていない。「そういえば土曜日だ」ということにそこで気づき、「それなら、『俳句入門』でも・・・」とEテレに変えてみた。この日は、トイレの後に寄ったので、時計も見なかったから気づかなかったが、朝、5時過ぎだと思う。前日は運動して疲れて、いつも起きない時間に起きていたことになる。中途半端な気分で、何も気にせずテレビをつけて腰掛けていた。1、2分だろうか、はたと気づき「俳句入門」かなとテレビを見たら、始まる1時間以上前で、番組が違っていた。「そうかちょっと起きるのが早すぎたか」とやっと気づき、「俳句」まで時間があると判断できた。頭が動き状況がわかってきて、改めて見ると、番組は土曜のいちばん早朝にある「こころの時代」だった。Eテレの早朝という、ほとんどだれも見ない宗教、人生をテーマにした番組で、ステレオタイプに連想して「お坊さんの説教かな、なんだ寝ようか」と頭の髪をかいた。ふと気づくとタイトルが「ヴィクトール フランクル」の「それでも人生に意味がある」だった。そのとき何か感じて「あらー」とテレビの前で口を開けながら、立ち尽くしてしまった。「何でこんな時間に起きたんだろう」と思った。それは起きたことに後悔したわけではなく、「この時間にわざわざだれかが起こしてくれたのかもしれない」と思わせるくらいの、まさに奇遇だった。改めて、ソファーに座り直し、フランクルの話をこんな早朝に聴くことになった。

 ヴィクトール フランクルは著名な戦前のオーストリア、ウイーンの精神分析医である。第二次大戦のとき、ナチスの捕虜収容所の体験を描いた「夜と霧」が戦後間もない頃、日本に紹介されて、多くの人に知られることになった。私はずっとあと、教員になる前20代後半に、大学の先生の講義で紹介されて知ることになった。漠然としていたが、興味が湧いてきて「夜と霧」を読んでみた。

 さて、ヴィクトール フランクルの考えは「人間が存在することの意味への意志を重視し、心理療法に活かすという、実存分析やロゴセラピーと称される独自の理論を展開する。」(みすず書房HP)とあり、内容はとてもいいのだが、なかなか理論は難しい。でも、30歳手前ころ心理学に傾倒して、粘り強く続いて「愛と死」「それでも人生にイエスと言おう」を手に取ってみた。今では、細かいことはほとんど覚えていないが、番組を見ることで、あの30年前の自分を思い出すことになった。そう、「どんな苦しい状況に置かれても、死ぬ間際の人であろうとも、生きることには意味がある」「それでも、人生に[Ja=yes]と言おう」「人は人生から問われている存在」をかみしめることもあった。

この番組は月に1度、6回シリーズで9月まで続く。第1回はフランクルの両親、生まれ、幼少期から青年期、フロイトとの出会いと交流やアドラーとの交流も紹介してくれた。解説は、セラピストの勝田茅生(かやお)さんという女性だった。上智大学を卒業後、ドイツに留学、博士を取得しフランクルの孫弟子にあたるそうだ。ドイツのセラピストの資格をとり、日本でもセラピスト協会を運営している。何よりも勝田さんの話はとてもわかりやすい。戦前のナチスホロコーストに連れて行かれる前までがわかりやすく紹介していた。フランクルの考えや体験について、本で読んだだだけではわからないことまで綴られていた。写真も紹介されていて、フランクルを知るにはとても良い番組だと思った。第2回は5月に放映されるが、「夜と霧」で紹介されたホロコースト時代である。放映は早朝なので見逃してしまいそうだ。スケジュールにめもしておきたい。

 

ウイーンの思い出も、20年以上前になる。

ステファン大聖堂 ウイーン

https://www.nhk.jp/p/ts/X83KJR6973/episode/te/46GLP751XK/

 

余談だが、俳句をやるわけではないが、興味があり、土曜日の朝についつい見てしまうのがNHK「俳句入門」である。