根津山の日記

日々の生活をまとめます。世田谷代田、理科教育、戦前の教育

E大学附属中学校 理科授業 訪問

授業訪問

今日はA先生の許可をいただいて、E大学附属中学校へ訪問します。

この学校は小中高大とある都内の学校です。スタンスは教育研究を推進している学校で、意欲的な先生が指導しているというのた私の印象です。

 

今日はK先生(大学講師 教職課程)が同行します。7時半に都内の駅到着で、自宅を6時半に出ました。(後でうかがったら、A先生は7時より前に登校しているそうです。(生徒が8時10分登校、8時20分1時間目チャイムが鳴ります。ずいぶん始業が早いです。)

今は、駅前の「上島珈琲店」によって、待ち合わせ時刻に合わせています。授業見学たのしみは、A先生が実践している「#モデリング理論」の実践を見られることです。

これは、一種の構成主義なのですが、生徒たちが議論をして、モデルを擦り合わせて、概念を形成する道のりがどのような授業、指導なのか、たいへん興味があります。

 

朝8時に校門で待ち合わせ、もうすぐです。

美味しいアイスコーヒーをちょっと急いで飲み込んで、学校に向かいたいと思います。

*****************(授業見学、検討会)*************

 

授業後

E先生と一緒に見学をして、その後、A先生を交えて授業検討会をしました。

1校時

2年3組・・・【状態変化】沸点や融点で温度が変わらないのはなぜか。

電流、抵抗を学習して、状態変化の単元に入りました。飛躍がありそうな単元の構成、並びですが、状態変化は一種の物理現象と捉えることができ、粒子概念を考えるに重要な単元と言えます。粒子概念という枠で電流を捉えれば、狙いは一致していると考えることができました。

 

粒子のエネルギーとむすびつくことの2点についてモデルを考えていました。

「ひも」、「ばね」、「なにかがつながっている」、など粒子は「結びつこうとしている」ととらえていました。

また、温度の変化をエネルギーという考えでとらえていました。物質の3つの状態を書き、矢印で結び、温度変化、エネルギーとして説明がされます。

この温度変化がなくなることを、エネルギーで説明していました。

「状態変化するとき、温度が変化しないのは、エネルギーを使っている」という考えが出されました。

そのとき、「それは、ちょっとどうかな」と私は思っていました。そうすると、議論や考えがロイロノートで示された後、しばらくして発言がありました。右後ろの男子でしたが、変化しない水平な曲線を指して、「エネルギーを使っている」というのは矛盾していると指摘していました。

エネルギーについて、「変換している」というように解釈していました。使ってなくなったのではなく、変わっているはずだというのです。

つまり「温度が下がらないのは使っているのではなく、何か補っているはず。使っているなら、急激に温度が下がるはずだ。」とグラフの変化に異論を述べていました。。

実は、最初に「使っている」と表現した生徒は、学年でもトップクラスの成績をもつ秀才らしいのですが、その子の出した説明に対して、異なった意見を出したわけです。よくあるケースでは、成績の良い生徒がいて、他の生徒がその子の間違いを指摘をするのはなかなか勇気のいることです。しかし、この授業では普通に進行していきます。そして、指摘した発言から授業の様子から、多くの生徒の考えが整理され、好感をもって受け取られているようでした。

「動き」や「むすびついている」など粒子の性質を子どもの言葉で表していました。それらで現象面を説明することで、モデルに無理がなく「一貫性がある」とA先生は評価していまいました。この一貫性というのが、キーワードなのかと思います。私は、完全には理解していませんが、佐久間先生が生徒の考えを上から蓋することなく、生徒の中で、矛盾なく説明できていることを大切にしていることが、一貫性につながるのではないかと思います。

 

A先生は、子どもの言葉を上からかぶせるようなことはしていませんでした。それが、最も印象的でした。指導の先生が細かい言い換えるということは、目ざとい子どもは、言い換え、そこに注目するというのです。先生が言い換えるということは、何かの意味、大切な意味があるとみることができます。

 

2校時

2年2組・・・状態変化 エタノールの沸点の測定

 

彼らのもっている、水の沸点の考え方として、つながりについて「プツン」と切れること、「動き」はビリヤードに例えている。

室温で蒸発するのがわかった。ビリヤードで球が外に出ていくことで説明ができた。

水の沸騰で、100℃のあたりで揺らぎがあったことが生徒のコメントでありました。

水の沸騰について、演示実験を加えました。過熱蒸気でマッチに火をつける実験でした。100℃以上になる蒸気を体験し、沸点では温度変化がないことを再度強調していました。

 

今日の時間はエタノールの沸点の測定です。純粋な物質では、ある決まった温度で状態変化が起きることを検証する実験です。状態変化として、物質には沸点がある。

 

ここで、A先生は黒板に

「水とエタノールの沸点の温度が異なるのはなぜか」

と主発問を書きました。

 

この目に見えない、ミクロのことを説明するには、今日やった実験だけでは、生徒はこの発問に対して、精確な説明はできません。モデルを描いで、言葉にして、どこまで議論しても、「グレーゾーンのまま」なのです。しかし、その生徒の描いたモデルについて、ひとり一人が説明して一貫性を持っていれば、A先生は「そういうことなのですね」と確認をして、要点を黒板に書いて、受け入れています。モヤモヤ感を生徒と共有している感じです。

(よくある評価や解説、「いいですね・・・」、「正しのは・・・」」、「実は・・・」、というようなことはA先生からは言わない)

 

このような指導を、進め方を重視しているとわかったのが、前回の訪問の時でした。(ある意味、初体験のゆらぎというか、混乱が自分ににありました。)

今日は実験を行い、グラフを書いたところで終わりました。

次回以降が考察となります。

 

まだまだ書きたいことや気づいたことはありましたが、これぐらいにしておきます。