根津山の日記

日々の生活をまとめます。世田谷代田、理科教育、戦前の教育

他人事ではない・・・ 「独裁体制から民主主義へ」

ジーン・シャープ著 「独裁体制から民主主義へ」

 解説 中見真理清泉女子大学

(100分de名著) Eテレ 2023年初回放送より

 

Gene Sharp (1928~2018) USA

1928年オハイオ州生まれ

マハトマ・ガンジーの研究を起点に、独自の非暴力を体系化し、戦略的非暴力を提唱。

アルバート・アインシュタイン研究所を設立して

非暴力闘争の提言・指導に尽力し、

世界各地の民主化運動に多大なる影響を与えた

(2023年1月号 紹介文より)

 

第1回 独裁体制はみかけほど強くない

Gene Sharp イギリスに留学  「非暴力の政治学」でオックスフォード大学から博士号(1960年)

アルバート・アインシュタイン研究所の設立。兵役拒否し、収監される直前、そのとき、アルバート・アインシュタインから励ましの手紙をもらい、研究所の名称になっている。

この80pの小冊子はミャンマー民主化運動をきっかけに書かれた。

補佐には、ハーバード大で出会った元アメリカ陸軍大佐 ロバート・ヘルヴィーがいた。彼とミャンマー民主化運動の支援と理論の検証に出かけたことでこの本ができた。

 

独裁者を甘く見てはいけない。 「独裁者は狡猾で残虐である。」シャープは現実主義者である。しかし、独裁者は決して強靭で永遠ではない。いかなる独裁者も不死身ではなく、支配者を支えているのは、被支配者たちによるので、その関係が崩れとき脆くなった独裁者を打倒することができる、とシャープは訴える。

 

服従してしまう要因

⒈ 習慣

⒉ 制裁への恐れ

⒊ 道徳的義務

⒋  自己利益

⒌ 支配者との心理的一体感

⒍ 無関心

⒎ 不服従への自信の欠如

 

「恐怖感と従順の癖を克服すること」

抵抗運動には民衆や市民機関が「大衆規模」で臨むことの重要性を説いている。普通の人が参加できる抵抗運動をめざし、それには大きなことから小さなことまで多くの方法があることを具体的に示した。

「非暴力行動198の方法」

ただ抵抗するのではなく、その手段を吟味し、それを適切に使い続ける。そうしなければ独裁打破の道は拓けないと強調する。人は暴力を必要悪と感じて、現実的な問題として暴力的手段に頼ってしまう。そのため、シャープは暴力に代わりうる抵抗手段として「戦略的非暴力闘争論」を打ち出した。戦略的に抵抗するので、感情に流されず、頭を使って冷静に抵抗を続けることが求められる。

 

 

第2回 非暴力という「武器」

・クーデターも選挙も問題を解決しない

・「外部の力」(外国の支援)への過度の依存は禁物

・非暴力闘争は「暴力なき戦争」

・独裁体制の力の源を断つ

・「政治的柔術

・周到に準備せよ!

・計画を立てない活動家たち・・・非暴力思想を強く持つ活動家たちは、往々にして、ともに闘争していくための戦略や訓練を計画的に考えるという発想が生まれにくいことがある。目前の事象にとらわれて、発想が戦術にとどまり、戦略的思考には至らない活動になっている。

 

 

 

第3回 非暴力ゆえの勝利

・まずは小さい行動から

・独裁者の力を奪う「隠れた不服従

・運動の核となる組織を強化する

リトアニアの独立回復運動

  (外部からの圧力に屈しない運動)

・連携を深めるバルト三国

・活用されるシャープの非暴力闘争論

・非暴力を貫いたリトアニア市民

・窮地のゴルバチョフを救ったもの

・信念と勇気 

  (失敗もある。常に勝利するとは限らない。・・・・過去の失敗の事例を注意深く分析することで非暴力の戦略を高めていくことです。)

 

第4回 新たな独裁者をうまないために

・新しい体制の船出

・永続性のある民主主義の確立を目指して

・シャープの理論の問題点

・理論と現実のギャップ

・独裁体制側もシャープ理論を研究

・非暴力闘争の勝率

・絶えず闘い続ける

・身近な抑圧者に「NO」を突き付ける

 

考えたこと

闘争は遠いせかいのことではなく、抑圧されている人がいるならば、身近なこととしてとらえることができる。何も一方的に勝利するのではなくても、戦略を考えて非暴力で闘い、世の中を変えていくことができると思う。自らが多くの人と手を携えて獲得した権利や社会構造は永続的に続くことになる。

あきらめるのではく、社会は良くなっていると確信して、行動の目標を見定めていきたい。